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岩国寿司

(いわくに ずし)

一度に5升のお米で作られる!?豪快な「殿様寿司」

酢飯と魚の身をまぜたものを木の器につめ、その上を錦糸卵やれんこん、しいたけなどで飾る。同様に何層も重ね、重しで仕上げる押し寿司。一度に5升程の米を用いて作られ、食前にそれを切り分けて食す。発祥は、岩国藩主に命じられ考案された保存食という説や、藩主への献上品といった説などが存在し、別名「殿様寿司」とも呼ばれる。色鮮やかな見た目から祝いの席に喜ばれ、数十年程前までは各家庭に専用の器が存在した。現在でも地元のスーパーや観光客向けのご当地グルメとして、その味が受け継がれている。

山口県の東の玄関口である岩国市は、吉川藩6万石の城下町として栄え、現在もその歴史と文化を伝える数々の遺産を抱え、美しい自然に囲まれた土地です。その象徴的存在が、創建から約300年の歴史を持つ五連アーチ橋「錦帯橋」です。そして、岩国を代表する美食といえば「岩国寿司」です。

「岩国寿司」は、江戸時代に吉川公への献上品として考案され、その美味しさから「殿様寿司」とも呼ばれています。岩国れんこんの酢漬けや伝統野菜のチシャ、アナゴの煮付け、錦糸卵、でんぶなど、豪華な食材を使用し、3~5段に重ねて仕上げられる一品です。これは、山の上の城へ運びやすい形状として考案され、祝い事や献上品として利用されてきました。職人たちは大きな木製の寿司枠を使い、60センチ四方にもなる大きな寿司を作り上げることもあるとか。出来上がった寿司は、一人前ずつ四角く切り分けられて提供されます。

この岩国寿司は、祝い事の席で食されることが多く、藩政時代からの伝統を受け継いでいます。寿司枠にはチシャの葉を敷き、錦糸卵・しいたけ・でんぶ・岩国れんこんの酢漬けなどを使って見事な模様を作り上げ、最後に木の蓋をかぶせて重しをかけて完成させます。出来上がりは一段が1升の米を基本とし、料亭では職人が片足をかけて蓋を引き抜く様子が見られるほどの伝統的な製法です。家庭で作る場合には、弁当箱やスクエア型、牛乳パック、ケーキ型などが代用されることもあります。

主な伝承地域:県全域、岩国地域
主な使用食材:米、魚、卵、しいたけ、れんこん

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名称
岩国寿司
(いわくに ずし)

岩国・周防大島

山口県