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ちしゃなます

苦味とシャキシャキ感、焼き魚をさっぱりとした味付けで

「ちしゃ」とは、「かぎちしゃ」という葉物の野菜で、サニーレタスのような形状で、やや苦味がある。山口県では、別名乳草とも呼ばれ、明治時代には広く一般的に栽培されていた。その「かぎちしゃ」を使った郷土料理が「ちしゃなます」だ。焼き魚をほぐして酢に浸けて加え、魚の浸け酢で酢味噌を作って和える。いりこや、炒ったしらす干しをすり鉢ですって使っても美味。酢味噌に加えた関が原の戦いの後、減封になり貧窮した毛利家の家臣が、冠婚葬祭や急な来客をもてなす際に作ったのが始まりといわれている。夏前が旬。

下関の伝統野菜で、かつては各家庭の庭で栽培されていた「かきちしゃ」。この縮れた葉野菜は、ほどよい苦味とほのかな甘みが特徴です。葉を下から順に摘んで収穫することから、方言で「摘む」を表す「かぐ」が付き、これが「かきちしゃ」と呼ばれる理由です。

地域の伝統的な食材「かきちしゃ」を使った「ちしゃなます」は、ちぎったかきちしゃを酢味噌やごまで和えた料理です。かきちしゃをもみ込むように調理することから「ちしゃもみ」とも呼ばれます。焼き魚をほぐしたり、ちりめんじゃこを加えたりすることが一般的で、カルシウムやたんぱく質も摂れ、栄養価が高いため、家庭料理として親しまれています。ただし、最近はかきちしゃ入手が難しくなり、サニーレタスやグリーンレタスで代用されることもあります。春菊を使用することも美味しいと言われています。この「ちしゃなます」が誕生したのは毛利時代と言われ、関ヶ原の戦いで苦しんだ人々の中で考案されたとされています。

かきちしゃは一般的に家庭料理やおもてなし料理として広く親しまれています。調理方法は、かきちしゃを洗って水を切り、ひと口大より大きめにちぎります。わかめは水で戻し、ひと口大に切ります。しらすは熱湯をかけ、ざるにあげておきます。味噌に砂糖やカボスの絞り汁、酢を加えてよくすり、かきちしゃ、わかめ、しらすを食べる直前に混ぜ合わせます。かきちしゃはお湯をかけて湯引きし、冷水で絞って使うこともできます。酸味が苦手な人は、すりごまやみりんを加えてまろやかに仕上げるのもおすすめです。昔はいりこを使っていましたが、最近ではしらすやなまり、酢じめの魚などを工夫して楽しむことが一般的です。

主な伝承地域:県全域、北浦地域
主な使用食材:ちしゃ、魚、味噌

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名称
ちしゃなます

下関・角島

山口県